小さく、小さくギターの音が鳴る。
アツキ先輩のハイボイスが、イントロのギターと絡み合うように響いた。
ヴォーカルとギターの二人を、眩しすぎるくらいの照明がともす。
始まりは小さくゆっくりと、音楽のはじまりにふさわしい、柔らかな落ち着いた音色。
”僕たちは限られた時間の中で、何かを成し遂げるんだ”
歌詞のセンスの無さなんて、もうどうでもよかった。
照明がドラムに当たる。
タンタンタン、ドラムのスティックが数回揺れて、それを合図かのように、音が踊りはじめた。
最後のライトがベースを照らす。
ヴオン。重低音が弾けた。
その瞬間、時間が止まったかと思った。

