時計が午後二時を指して、照明がふっと消えた。
ブラックコーヒーの順番は今回も一番目。
卒業ライブのトップを飾る、華々しい登場だ。
一曲目は、ノゾムくんが作曲、私が作詞を担当した新曲だ。
弾けない両手で打ち込んだメロディー。
それが今、現実の音となって響き渡ろうとしている。
青色に光る照明が、アツキ先輩を照らす。
続いてギター、ベース、ドラムの位置を同時に照らした。
タンタンタン、ドラムの音が小さく鳴る。
それを合図に、一気に音が弾けた。
始まった。私たちの曲。青春の音。
私がノゾムくんを応援したくて書いた、エールソングだ。
アツキ先輩の声、ショウくんのギターの走り、アイトくんのドラムの鼓動。
そして、ミカ先輩のベースが駆ける。
本来ならば、隣にいる彼が弾くはずだったベース。
彼のお気に入りの緑色の相棒は、もう存在しない。
ノゾムくんは立ち上がって、じっとステージを見ていた。
彼の右手と、私の左手が触れる。
決して離さないよと誓うように、私は彼の右手を握って身体を支えた。

