Hello,僕の初恋






今日の会場は、イスのないステージ、いわゆる『箱』と言われる小さなスタジオだ。



会場に入ると、ノゾムくんのために用意されたパイプ椅子が、ステージの下、最前列のベースの立ち位置の前に置かれていた。



「誰か置いてくれたんだ。始まるまで座らせてもらおう」



ノゾムくんが杖を床に倒して、椅子に腰をかける。



私は横に立って、ノゾムくんの右肩に手を置いた。

あったかい体温が伝わってくる。



「入口でペーパー貰ってきたよ」



私が手渡すと、ノゾムくんがはっと目を見開いた。

幅広い二重まぶたの下、こげ茶色の瞳がきらきらと揺れる。

それがなんだか泣きそうな顔に見えて、私もペーパーも覗きこんだ。





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『Ba.曽根崎望 代理Ba.Sugar』

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メンバーの名前のところにちきんと刻まれた、彼の名前。

きっとメンバーが入れてくれたんだろう。欠席とは書かれていない。



お前も一緒に参加してるんだぞ、と言われているかのように、しっかりと名前が書かれていた。



「もうすぐ、始まるね」



私が言うと、ノゾムくんが頷く。

会場には続々とお客さんが入ってきて、あっという間に満員になった。



「花音ちゃん」

「うん?」

「今日、一緒に観てくれてありがとう」

「うん」