「さっ、出来た。まだ時間あるし、色々見て回ろう? 美羽の出るファッションショーもあるし」
「うん! ありがとう」
「ノンは可愛いんだからさ、午後までリボン曲げないでね」
「それはどうだろう」
私たちはふふふと笑いながら、部室を後にした。
北側にある文化部棟の廊下は寒い。走り抜けるだけで、体が凍えてしまいそうだ。
「ノン、足真っ青じゃん! あったかいもの買いに行こう!」
「じゃ、ブラックコーヒーがいいな」
「もう」
直ちゃんの彼のバンド名を口にしたら、彼女は頬を真っ赤に染めた。
色づいたのは木の葉か 白壁か それとも私の頬か。
私と反対で、直ちゃんはとっても暑そうだ。
恋というものはきっと、冬でも真っ赤に燃え上がるものなんだろう。
私は文化部棟の昇降口からジャンプで飛び降りながら、そんなことを思った。
もちろんリボンは曲がってしまった。

