ノゾムくんのお姉さんの車に乗っている間は、緊張して気が気じゃなかった。
ショウくんは下を向いてスマホをカチカチ弄ってるし、お姉さんは運転してるし、沈黙が続くので、窓の外でも眺めることにした。
海沿いを走る国道。海浜公園、市民ホール。
国際観光港に、バスセンター。ショッピングモール、コンビニ。
しばらく海沿いを進んで、水族館の前を通りすぎる。
デートをしているカップルが歩いていて、ちょっとだけ心が重くなった。
あの日、私が逃げ出さなかったら、次の日にはデートでもしてたのかな。
そうしたら、ノゾムくんは事故に遭わなかったのかな。
私が意気地なしじゃなかったら……。
色んな『もしも』を考えはじめると、胸が苦しくなってくる。
そんな後悔を胸にぐるぐると考えているうちに、車は県立病院へと着いた。

