◇ お店を出てからはもう、息を切らして走っていた。 風の強い国道、海浜公園、駅前広場、緩い上り坂になった細い路地。 信号で止まった時に、すかさず直ちゃんにメッセージを送りつける。 『直ちゃん、今から会える?』 って、もう行ってる途中なんだけど。 信号が青に変わる前に、ピロンと鳴るラインの通知音。 『すぐ行ける。昨日の公園でいい?』 直ちゃんがこんなに早く返事をくれるなんて、たぶん二回目。 『うん』と書かれたネコのスタンプを送って、私は走る。彼女に自分の気持ちを伝えるために。