ホイップクリームとヘーゼルナッツソースがたっぷりかけられたパンケーキは、いつの間にか全て胃の中だ。
国道沿いを車がびゅんびゅん走る。
きらきら光る海、遠くに見える海浜公園。
走り去っていく自転車の集団。かすかに聞こえる救急車の音。
ああ、こんな綺麗な景色も、きみと見たらただの背景になっちゃうんだろうなって、そう思う。
「先輩、ありがとうございました!」
席を立ってお辞儀をすると、先輩は「応援してるよ~!」と笑った。
ついでに奢ってくれると言ったので、それに甘えて、今度は私が奢ると約束した。
ミカ先輩とは次の約束が出来た。
次は、中途半端に会話を終えたふたりに、会いに行かなきゃならない。
先輩が手を振って、私は駆け出す。
その日の国道沿いは風が強くって、私の背中を押してくれた。

