「ノン、あのさ……、私……」

「ねえ直ちゃん! どうしよう!」



直ちゃんと私の口が開いたのは、ほぼ同時だった。

私の勢いが凄すぎたせいか、直ちゃんは少し身体を引いて、口をあんぐりと開けている。



先ほど起きた出来事に、心も体もついていかない。

混乱しすぎて一方的に喋りはじめてしまったけれど、それを気にとめる余裕もなかった。



「どっ、どうしよう! ノゾムくんに告白されて、逃げ出しちゃった!」

「え!? 何がどうしてそうなったの!?」



住宅街の一角にある小さな公園に、私の声が響く。

それに負けないくらいの大きさで、直ちゃんの声が響いた。



今日はクリスマス。昼間は雪が降っていたほどの寒さなのに、私の身体は燃えるように熱い。



「帰りにね、話そうってなって。そしたらなんかいい感じになって!

ノンちゃんは恋してる? って聞かれたから分からないって言ったら、好きって……! えっと!」



自分でも何を話しているか分からない。



身体が熱いのに吐く息は白くって、掴んだ手摺りは冷たかった。

言葉にならない言葉を、ぐるぐると吐き出す。



直ちゃんは私より幾分か冷静で、うんうんと頷いてくれた。



「……でも、逃げ出しちゃった!」