夜の九時に友達と会うなんて普段なら親が絶対に許さないけれど、直ちゃんは特別だった。

宿題を学校に置き忘れた夜なんかに、彼女と会うことが多かったから。





今日、声をかけてきたのは直ちゃんの方。

そんなことは初めてだったけど、色々な気持ちでぐちゃぐちゃになった私は、彼女を気にとめることもしなかった。





「ノン、今から話せる?」





そう言って走ってきた直ちゃんの目が、少し赤いような気がしたのは、寒さのせいかなと思った。





私たちは学校の方へと続く階段を昇って、中腹にある公園へと向かった。

いつかノゾムくんと話した、イルミネーションのある公園だ。

住宅街にあるこの公園では、夜の九時を過ぎるとイルミネーションは消えてしまうらしく、レトロな装飾の街灯だけが光っていた。



街を一望できる公園の端、小さなブランコの後ろにある手摺りを握って、街を見下ろした。



遠くの方に、海浜公園のイルミネーションが見える。

綺麗だった。

まるで今日ステージで演奏していた、恋する相手のように美しい光景だ。