夢でも見ているのかと思った。



ピンク色のイルミネーションがちかちかと揺れる。



私も好き、だなんて言葉は簡単には出てくれなくって。

どうしてだか、また涙が零れていた。



たぶん、緊張の糸が切れてしまったんだと思う。



ふっと、繋がれた手と手が離れた。

自然と離れたんじゃなくって、自分から振りほどいたのだと気がつくまでに数秒もかからなかったと思う。







「……わっ、私、帰るね!」





そんなことを、言いたかったわけじゃないのに。



どうしていいのか分からなくって、私はそう叫んで駆け出していた。




「花音ちゃん!?」




イルミネーションの色が変わる。

海風が背中を押すように吹き抜ける。

遠くから、ノゾムくんが私を呼ぶ声が聴こえて、それが少しずつ遠のいていった。