一瞬静まり返って、遠くから波音がきこえる。
ノゾムくんが私の隣に立って、ふたりで海浜公園の方へと歩いた。
夜の公園は静かで、海岸に打ち寄せる波の音と、時々吹く風の音が聞こえるだけだ。
イルミネーションスポットになっているから、公園のあちらこちらに人がちらほら見える。
たぶん、みんなカップルだろう。
「あっち、行こうか」
ノゾムくんがベンチの方を指したので、私はまたこくりと頷いた。
どきどきしすぎて、心臓の音がノゾムくんに聞こえちゃうんじゃないかって思う。
私たちは黙ったまま屋根付きのベンチにたどり着いた。
昼間は雪が降っていたので、濡れていないか座る前に確かめる。
屋根があるおかげで、木製のベンチは乾いていたけれど、座るとひんやりと冷たかった。

