「私のルーズリーフあげるよ」
ミカ先輩がお腹を抱えて笑いながら、カバンから文房具を取り出した。
スタジオは高らかな笑い声に包まれている。
「はー、花音ちゃん。きみのそういうとこ、長所だと思うよ」
ノゾムくんが、ふふふと笑いながらそう言った。
「俺たち切羽詰まってたからさ、最近ピリピリしてて。花音ちゃんのおかげで癒された、ありがとう」
ノゾムくんに続いて、みんながうんうんと頷く。
また暗い気持ちに引っ張られそうだったけど、みんなのおかげでどうにか前を向いて笑うことが出来た。
「さあ、始めるぞ!」
アツキ先輩の声を聞いて、みんながそれぞれの位置につく。
仕切り直して、私とミカ先輩はパイプ椅子に腰をかけた。
ギターのイントロが流れ始めて、アツキ先輩の澄んだ声が響く。
僕たちは限られた時間の中で、何かを成し遂げるんだ。
そう聞こえたあとにドラムが数回鳴って、べースの音が入ってきた。
ああ、やっぱりどきどきする。私はこの音楽の虜になったんだ。
途中、少しだけノゾムくんと目が合った。
彼はいつものように緩やかに笑っていた。

