「ねぇ、文乃は恥ずかしくなったこととか、ないの?」



学校の帰り道、こんな話題になったのには理由がある。

昔の話をしていたら、僕の小さい頃の恥ずかしいエピソードが出てきたからだ。


余計なことばっかり覚えている文乃に、お返しでそんなことを質問する。


文乃は「う~ん」と少し悩んでから、ひらめいたように目を見開いた。


「恥ずかしくなったことっていうか、顔が赤くなったことならあるかも」

「えっ!」


いや「えっ!」じゃないんだけど!

一瞬でも文乃を……。あ、赤くさせてみたいと思ってしまった。

呆れるしかないその考えに、口は追いつかなかったようで。


「どうしたら、文乃は赤くなるの?」


何言ってるんだ僕は!

勢いで聞くと、まさかのこっちが赤くなるような答えが返ってきた。