霊廟にはロミオンとジュリエラレッタの二人。

 ジュリエラレッタはほかに誰もいなくなったためか、ひどく気が抜けているようだった。
 その様子はまるで、心の傷がまだ言えていない乙女のようで──。

 聞こえるか、聞こえないか。
 それほど細い声でジュリエラレッタは呟いた。





「ああ、ロミオン…………あなたはどうしてそんなんだったの?」





 ジュリエラレッタはじっとロミオンを見つめたあと、一切振り返ることなく去っていく。

 ロミオンは一度もジュリエラレッタの方に視線を向けることができなかった。


 しばらくしてロミオンは猫背気味に棺に近づき、その中に入った。
 ミヨ子と同様に寝転ぶが、その拍子に置かれていた花が鼻の穴に入る。
 それを退け、大きくため息をついた後、まぶたを閉じた。





「ああ、もう嫌だ……このままいっそ毒をあおって永遠に眠りたい」





 ロミオンの細い声が霊廟に響き渡っていた。