「ほんと怖いわー! 『僕には君だけだよ! キリッ』とか言いながら、他の女のこと考えているなんて。どんなず図太い神経してるのかしらー」
「ジュ、ジュリエラレッタ……」
「ああ、ただ単に馬鹿なだけなのかしらねー。あなたはどう思う、ミヨ子?」
「………………わ、分かんないです。けど、裏切ることは……最低、だと思います」
涙を堪えているためか、声が震えているミヨ子。
しかし、彼女の視線は真っ直ぐと標的の男のみを捉えていた。
気の弱いミヨ子が怒気を纏ったところをみて、ロミオンは上ずった声を出す。
「み、ミヨ子……ち、違うんだ! 誤解だよ!」
「……っ誤解!? なにが違うっていうの!? 詳しく教えてよっ」
抑えきれぬほどの憤怒の感情を溢れさせるミヨ子にロミオンは口ごもった。
そこに、相変わらず場違いなほど能天気な声が響いた。
「はーい、ロミオンさん。なにが違うのか原稿用紙100枚以上にまとめて明日持ってきてくださーい。遅れたら、木靴で両足踏み踏みの刑に処すー。痛いぞー! 私が赤ペン先生だからなー」
間延び声で面白おかしそうに笑うジュリエラレッタ。
ロミオンはそんなふざけた様子の彼女の側により、両肩を掴んだ。場違いな怒りで顔は真っ赤だ。
「ど、どういうつもりだ! ジュリエラレッタ!君が僕を嵌めたのか!?」
「ピンポンピンポン! だいせーかい」
ジュリエラレッタはそう言った後、「パッパラパーン」とトランペットを吹く真似をした。
その様子を見て、ロミオンは愕然と肩を落とす。
