「なあ」
背中を向けられてしまった。
名前だけを呼ぶのはなんだか慣れなくて、簡単に呼び掛けると、面に集中していたキギがこちらに視線を移す。
「んあ? なん、じゃなくて、な、なにかな?」
「気は、使わなくていいぞ。別に気にしない」
「ありがとう。でも私が、気にしてるんだ。態度がひどい、可愛くないって、よく怒られててさ。でも、無意識下じゃ、なおってないっていうか。その……スィロ母さんからも、お前の寝姿はサイテーだって散々聞いてたし昨日もきっと……うう」
後半やたら早口で言いながら、ずーん、と落ち込み始めたキギに、その話題で引きずってしまっては沼に落ちていくようなものだと思い、あわてて再び呼び掛ける。
「あ、ごめんなさい」
「構わない。ところで、キギは母さんに、会いたいか?」何か悟ったらしいキギが、はっとする。
「――か、母さんに挨拶しに行く、と……?」
まあ、と言うと、形容しがたい顔をされた。
すぐに、キョトン顔になる。
口には出せないが、ちょっとあの面に似ている。
「でもまあ、挨拶っていうか」



