旅立ち


買い物している間は店の前に、駐車(?)して問題なかったが、飲食店が並ぶ向こうの方は、とてもそんなスペースが余っているように見えない。
特にこの辺りは公共の地だ。そこらへんにぽん、と置いて行くのは、邪魔なことこの上ない。

しばらく調整か何かしていたソノさんは、その後、ちょっと行ってくる、と、車を引いてどこかに消えていった。
方角からすると、先ほどまでたどってきた道だろう。


残された二人はぼんやりと星空を眺めることになった。
眠ってしまいそうだ。
キギは食欲より、睡眠欲が勝っている。

「それにしても、ああ、水玉……なぜ、売る側に……」

「これ、水玉模様なんだ」
会話のポイントがずれた気がするが、今さらだ。


「名前だ……きょろん水玉ちゃん一号」

「それは……芸名か何かかな。2号さんはいらっしゃるの」

「…………真面目に喋ってるか」

「もちろん。あ、そうだ、これ」

ポケットから取り出した小刀を見せた。
呆気に取られた顔をされた。
もちろん、昼間は車に積まれていたものだ。鞘に収まっている。
つい、回収してきてしまった。

「果物と一緒にしとくのはさすがに、どうかなって思って……」

「……どっ……そっ、それを、何処で!?」


えっと。
まさか、本当に探してたの――――?