「なんだ、おかしいのか?」
聞かれてしまった。
笑っちゃいけなかったのだろうか。
おにー……た、んの顔が見えないのでよくわからないが、機嫌を損ねたとしたらまずい。
こちらとしては、仲良くなりたいのに。
「い、いやー、あのっ、お面!」
「お面? なんの話をしてるんだ」
「えーっと、だから、あなたが振り向いたときに、その……」
自分がどうして笑ったかを説明しなきゃいけないというのは、なかなかに、傷付きやすい心をえぐる。
目頭が熱くなってきた。
「さっき言ったこと……」
必死の説明以前に、《あなた》という呼び方の方に食い付かれてしまった。
「あ、はい。お、おにー」
たん。
だめだ、言えない。
「すみません……お名前、お聞きしても良いですか?」
たんってなんなんだ、たんって。
「ああ、名前で呼んでくれるのか。それもいい。俺の名前は、花園の……、ソノだ」
「あ、はい! よろしくお願いします。ソノさん。そして、また改めまして、ここはどちらなのでしょうか」
ふう、なんとかおにーたん呼びを回避できた。
改めて見回すと、どこかの町の中で、店が立ち並ぶ場所のようだった。
その中でも一番、あまり楽しげじゃない意味で目立つ建物の前に連れられた。
でん、とそびえる、怪しげな店のような建物。
壁は紫。
大きなカバか何かの微妙な面が看板になっている。
聞かれてしまった。
笑っちゃいけなかったのだろうか。
おにー……た、んの顔が見えないのでよくわからないが、機嫌を損ねたとしたらまずい。
こちらとしては、仲良くなりたいのに。
「い、いやー、あのっ、お面!」
「お面? なんの話をしてるんだ」
「えーっと、だから、あなたが振り向いたときに、その……」
自分がどうして笑ったかを説明しなきゃいけないというのは、なかなかに、傷付きやすい心をえぐる。
目頭が熱くなってきた。
「さっき言ったこと……」
必死の説明以前に、《あなた》という呼び方の方に食い付かれてしまった。
「あ、はい。お、おにー」
たん。
だめだ、言えない。
「すみません……お名前、お聞きしても良いですか?」
たんってなんなんだ、たんって。
「ああ、名前で呼んでくれるのか。それもいい。俺の名前は、花園の……、ソノだ」
「あ、はい! よろしくお願いします。ソノさん。そして、また改めまして、ここはどちらなのでしょうか」
ふう、なんとかおにーたん呼びを回避できた。
改めて見回すと、どこかの町の中で、店が立ち並ぶ場所のようだった。
その中でも一番、あまり楽しげじゃない意味で目立つ建物の前に連れられた。
でん、とそびえる、怪しげな店のような建物。
壁は紫。
大きなカバか何かの微妙な面が看板になっている。



