台車?(で、いいのだろうか)に、適当に乗せられると、やはり体格良さそうな人(噂では、猫耳と髭眼鏡着用? でおやすみなさるという)が、それを引いて歩き出した。
もう一人の方は、華奢にしか見えないと思っていたら、やはり隣に座った。キギから見れば、左側だ。
そして右の膝を立てて、どこか気だるそうにする。顔をそむけられてしまった。……睡眠不足なのだろうか。
ところで、車を引く人物は、握力もだが、すごい体力のようだった。
ついつい、感心と感激と、多大なる不安とが入り交じった目で見つめてしまう。
(不安については、自分の行く先がわからないことだ。誰に聞いても答えてもらえないままだ)
筋肉について詳しくないために、少々どう言ったものかに悩むが、とにかく、なんともたくましい肉付きをしていた。
……どう鍛えればこうなるのだろう。
好きだった王道の勇者の物語の挿し絵を思い出す。
盛りに盛られたという感じの、たくましい勇者の腕は、冒険がいかに壮絶かを物語って……あ、そうだ。思えば、昔、姫様よりも勇者様に憧れていたな。
というところまでぼんやり浮かべてから、現実を把握するために意識を呼び起こした。



