そういって、キギを掴んでいる人物に、刀を、ゆっくりと箱から出して渡した。
「どうも」
その人物はただそう言った。それから刃先を保護していたものを取り払い(もう一人に渡し)、片手でそれを取ると、こちらに向く。
――ん?
刃物を持った人物に……
おばさん……引き渡すって、なんだ? 何を? この人たちに?
「って、えええええ!? いや、待ってよ待って! 何、計画された殺人なの!? それかまさか人質! 人気のない山奥でいたいけな少女が売られちゃうの!」
いや、まだ死にたくない!スィロ母さんの裏切り者ぉ! うわあああん!
混乱するキギに、リキュはただ、どうどう、と優しく声をかけた。馬じゃねーよ! とキギも言いたかったが、パニックでわけのわからないことをふにゃふにゃと言うしかできない。
唸っていたキギを、小さな声が鎮めた。
「……ごめん」
隣で、囁かれたそれは謝罪だった。
え? と聞き返したが、何も答えてもらえない。
……ていうか、そろそろ掴まれた腕が痛いぞ。
そう思っていると、腕がふと離れた。
代わりに、優しくキギの後髪が掴まれる。
そして、ゆっくりと。
――髪に切り込みが入ったのだった。
ウワア。
間抜けとしか表現できないような、謎の発音を聞いた。
なんだなんだ。
まだ発見されていない生物の鳴き声か?
そういえば、この前も、ヘンテコな新種猫科生物が発見されていたな。このへん、まだ開拓が進んでないとこ多いしなあ。
と考えながら見渡す限り、そんなものは見当たらない。
……どうやら、発したのは自分だった。
「……ついに、胸より短くなっちゃった。なに、何?」
一瞬で、たぶん絶妙な加減に、後ろが軽くなったのがわかった。風が当たる。
……少し涼しい。
後ろを見ていないから、毛先が揃っているかはわからないが。
びっくりしすぎて、喚くことも出来ずに目を点にしていると、スィロ母さんが近づいてきて、ぽんと軽く肩に手を置いた。
「おめでとう。 やっとあんたも一人前だ」
はしゃいだ声が、解放宣言をする。
成人の儀かなにかを終えたみたいな雰囲気でもある。
「どうも」
その人物はただそう言った。それから刃先を保護していたものを取り払い(もう一人に渡し)、片手でそれを取ると、こちらに向く。
――ん?
刃物を持った人物に……
おばさん……引き渡すって、なんだ? 何を? この人たちに?
「って、えええええ!? いや、待ってよ待って! 何、計画された殺人なの!? それかまさか人質! 人気のない山奥でいたいけな少女が売られちゃうの!」
いや、まだ死にたくない!スィロ母さんの裏切り者ぉ! うわあああん!
混乱するキギに、リキュはただ、どうどう、と優しく声をかけた。馬じゃねーよ! とキギも言いたかったが、パニックでわけのわからないことをふにゃふにゃと言うしかできない。
唸っていたキギを、小さな声が鎮めた。
「……ごめん」
隣で、囁かれたそれは謝罪だった。
え? と聞き返したが、何も答えてもらえない。
……ていうか、そろそろ掴まれた腕が痛いぞ。
そう思っていると、腕がふと離れた。
代わりに、優しくキギの後髪が掴まれる。
そして、ゆっくりと。
――髪に切り込みが入ったのだった。
ウワア。
間抜けとしか表現できないような、謎の発音を聞いた。
なんだなんだ。
まだ発見されていない生物の鳴き声か?
そういえば、この前も、ヘンテコな新種猫科生物が発見されていたな。このへん、まだ開拓が進んでないとこ多いしなあ。
と考えながら見渡す限り、そんなものは見当たらない。
……どうやら、発したのは自分だった。
「……ついに、胸より短くなっちゃった。なに、何?」
一瞬で、たぶん絶妙な加減に、後ろが軽くなったのがわかった。風が当たる。
……少し涼しい。
後ろを見ていないから、毛先が揃っているかはわからないが。
びっくりしすぎて、喚くことも出来ずに目を点にしていると、スィロ母さんが近づいてきて、ぽんと軽く肩に手を置いた。
「おめでとう。 やっとあんたも一人前だ」
はしゃいだ声が、解放宣言をする。
成人の儀かなにかを終えたみたいな雰囲気でもある。



