「あー。でも、まだ、約束は果たしてもらってないな。」
「え?」
「言わない条件だよ。」
「あ〜。嫌になったんじゃないんだ。」

「今日なんか、いいよなぁ。来いよ。」
視聴覚室に連れて行かれた。

「じゃあ、この間の続き。」
「はい。」

『今日こそ、されるんだ。
 初めての相手が、ヤンキーくんか。』
ショックを受けながらも抵抗はしなかった。

山崎くんが、頬に手をおいた。
キスしようとしてきた。
「目、つぶれ。」
目をつぶった。

『遂に、私のファーストキスが・・・。』
やっぱり、してこなかった。

「え?」
「おまえさ、初めてだよな。この間思ったんだよね。」
「そんなことない。」
「じゃあ、なんで、震えてんだよ。」

『私、震えてたんだ。そりゃ、初めてだもん。』

「はい、恋愛経験0です。」
「へー、そうなんだ。じゃあ、この間のは嘘?
 恋愛経験0の人が恋愛小説書いてるんだ。別にいいけど。」
「はい。そうです。」

「じゃあ、俺が教えてあげる。」
「は?」
「俺のこと好きになれば、小説も書きやすいだろ?」
「・・・」
「一緒に帰るぞ。」
「あ、はい。」
帰る準備をした。

『なんだ?この展開は。』

 こうして、私とヤンキーくんの秘密の疑似恋愛は始まった。