さぁ私はどうしよっかな、とりあえず洗濯でもしようかな…

くるりと振り返って部屋に戻ろうとすると後ろからはいつもの揃った大きな声がした。

「「芽衣おはよう!!」」

大志と奏志がピンポンも押さないでやって来た。
ピンポンの件はいつものことだからもういいや。

「おはよう。何?どうしたの?朝からテンション高くない??」

「「ちょっと来てちょっと来て!やっと届いたんだ~!!」」

2人に手を引っ張られそのまま隣の家の庭まで連れてかれた。

「「じゃーんっ」」

両手を開いて2人が見て見てと私に訴える。
そんな2人の間には…

赤い自転車、切り替えとか付いたいいやつ!

「わーーーかわいい!」

「「芽衣にプレゼント!」」

「えっ、なんで?」

「ちょっと早いけど誕生日プレゼント!」

「いいの!?」

「お前自転車持ってねぇから!」

赤くてピカピカの可愛い自転車。

「早く渡したかったんだけど、入荷待ちでさ!今日の朝届いたんだよ!これで2人乗り禁止でもツーリングなら出来るし!」

「嬉しい!…え、でも自転車って結構高くない…?どうやって??」

「俺はバイトしてたから!」


“俺も欲しいものあるから!”


そーいえばあの時の大志が何か言ってたような。

「奏志はとーちゃんから借金な!」

「これから月々500円ずつこずかいから引かれんだぞ!でかいんだぞ、500円は!死活問題だ!」

肉まん1個で死活問題だもんね、奏志は。

「うん…」

「「これでバイト先からも一瞬だ!」」

2人が肩を組んで空高く指をさす。

「ふふっ、ありがとう!」

そんな2人を見て嬉しくて笑った。

「でももうバイト辞めるんだー。欲しいもの買えたし、目的なくなっちゃったから」

赤い自転車の前にしゃがみ込んで頬杖をつく。

「…うん、それがいいよ」

「そーだな」

「俺らバイトしてると奏志が暇だってうるさいし」

「はぁ!?俺には部活が!お前だって芽衣がバイトのことばっかりって…っ」

「「…何写メ撮ってんの?」」

「待ち受けにしようと思って」

パシャパシャといっぱい写真を撮った。

「汚れるの嫌だから乗りたくないなぁ」

思う存分写真を撮り、立ち上がる。

なんだか乗るのがもったいないよ。

「3人で日本一周しようぜ!チャリで!」

奏志が私の肩を組んだ。

「無理だよ!」

「できる!できる!」

反対から大志が同じように肩を組む。

「「まずは駅前のカラオケからだな!」」

「全然近いし!!」



でもどこまででも行けそうな気がするかも。