「ほんとお前って……」

柳瀬がまたぶつぶつ文句を言ってる。


「……柳瀬、眠い。寝ちゃってたら起こしてね」

「お前、いい加減にしろよ」

そんな声もだんだん遠のいていった。


そんなさなか、


——唇に温かいものが触れた。

一瞬の出来事でなにが起きたのかわからなかった。


足音が遠のきドアが閉まる音がしてゆっくり瞼を開ける。

狸寝入りしてたわけじゃない。うとうとと浅い眠りで、夢と現実を行ったり来たりしていただけだ。