「……好きなんです」

えっ、もしかして告白現場?!ドア越しにそっと中を覗いた。



柳瀬がいた。

柳瀬の前には、美人で有名な同じ学年の鈴木さんがいた。


「柳瀬くんのことが、ずっと前から好きでした。私と付き合ってください」

気づいた時には来た道をまた戻っていた。

教室に入れる状況じゃなかった。かと言って、柳瀬と鈴木さんのやり取りが終わるまで待ってるのも違う気がした。


「……傘は諦めよう」

私は上履きを履き替え、また雨の中とぼとぼと歩き出した。


……柳瀬はあの後、なんて言ったのかな。

鈴木さんに告白されて付き合わない男なんかいないか。


地味な私なんかの隣にいるより、ずっとお似合いだ。