「琴ちゃんおはよう」

カバンを机に置いて、前の席の友達に話しかける。


「麦と柳瀬、おはよう。今日も仲良く登校ですか?」

桜井琴子(さくらい ことこ)。クラスメイトで中学からの知り合い。クラスで一番仲のいい友達だ。


「琴ちゃんやめてよ。こんなやつ、友達でもなんでもないよ」

横からノートでバシッと頭を叩かれる。


「世話してもらって生意気言うな」

「いったいなぁ。これでも女なんだから手加減してよ。あと言っておくけどね、世話してなんて頼んだ覚えありませんから」

ほんと、信じられないことばっかりするんだから。