本格的な梅雨の時期で、灰色の空が広がる放課後。

早く梅雨明けしないかなぁなんて毎日思う。


「柳瀬、帰らないの?」

隣の席の柳瀬はまだ椅子に座っていた。いつも真っ先に帰ろうとする柳瀬が残っているなんて、不思議だ。


「わるい。今日先帰ってて」

「そう、分かった。なんか珍しいね」

浮かない顔をした柳瀬に別れを告げて、私は校門を出た。


柳瀬のいない帰り道。なんだか物足りない。

「鬱陶しいけど、いないといないで寂しいんだよなー」

そんな風に独り言を呟きながら歩いていると、鼻先に雫が落ちてきた。


空を見上げ手のひらを上に向ける。