「はぁー寝不足だ。ちょっと寝るわ」

柳瀬はそう言って大きく伸びをした後、三角巾とエプロンを外して、空いていたベッドに横になった。


「授業戻らないの?」

「サボる。調理実習とかだるすぎ」

「うん。そっか」

本当に寝てしまったのか、保健室に静かな時間が流れる。


自由気ままな人。だけどなぜか憎めない。


「……柳瀬、ありがとね、色々」

背を向けて寝ている柳瀬に向かって静かにお礼を言った。


「最初から、素直にそう言えばいいだろ」

なんだ、起きてるじゃん……。眠そうな声が聞こえてきた。