「うん。……なんか柳瀬って、長く一緒にいるわりによく分かんないんだよね」

「まあ、柳瀬にも色々な思いがあるんだろうね」

琴ちゃんは玉ねぎの皮を剥きながら、優しい笑顔を向けてきた。


琴ちゃんは優しいなあ。

私はそんな風には思えない。自分の機嫌ぐらい自分で取ってほしいよ。

ほんとめんどくさいやつ。そんなことを心の中で呟いて柳瀬の方を向くと、てきぱきと食器の準備をしていた。

深緑のエプロンと黄色い三角巾の姿が新鮮だった。