柳瀬は立ち止まって、私の方も向かずに聞いてきた。

「お前が朝言ってた王子とかいうやつ、あいつか?」

なんだ、人の話ちゃんと聞いてるんじゃん。


「だったら何?私が誰を好きになろうと、柳瀬には関係ないでしょ?」

「お前、あいつのこと好きなの?」

「えっ?好き?」

「今好きって言っただろ」

柳瀬はぶっきらぼうにそう呟いた。


「あぁ。……そういうのよくわかんないけど、素敵な人だとは思ってるよ」


……好き。ってなんだろう。


そんなことを考えていると、

「やめとけよあんなやつ」

吐き捨てるように柳瀬がそう言った。