「誰だお前?」

「ちょっと柳瀬!先輩だよ!!」

先輩は困ったように笑ってた。

「俺は三年の久野幸人。はじめまして、君が噂の柳瀬くんだよね?」

「こんなやつ知らねえ。行くぞ麦」

柳瀬は私の腕をぐっと掴み、スタスタと歩き出してしまった。

驚いた顔をする先輩に、私は歩きながら振り返りとりあえず頭を下げた。


「ちょっと柳瀬!なんか怒ってない?痛いんだけど」

先輩が見えなくなったところで、私は柳瀬の腕を振りほどいた。