「何言ってんだお前。そういえば、昨日言ってた本借りれたのかよ?」

「えっああ、本はね……、探してたのが見つからなくて借りれなかった」

思わぬ質問に、とっさに嘘をついて笑ってごまかした。


「お前、本も探せないのかよ」

「うるさいなぁ。そのかわり、すごいもの見つけちゃったもんね」

ものっていうか、人。いや、現代版の王子様。


「なんだよそれ」

「王子様だよ。私、見た目も中身も素晴らしい、王子様を見つけちゃったんだ」

「お前なぁ、本じゃなくて絵本の読みすぎなんじゃねぇの?いるわけねーだろ王子なんて」

柳瀬は呆れ顔でため息をついている。でも今は、柳瀬の憎まれ口だってさらっと受け流せる。

だって、私は今とても浮かれているから。