この先もずっと、キミの隣で。

「……先輩、助けてくれて、ありがとうございました」

私は頭を下げお礼を言った。


「当たり前でしょ。あんな状況なのに、黙って通り過ぎることなんてできないよ」


「……先輩」

やっぱり王子様だ。


「俺は三年の久野幸人(くの ゆきと)。よろしくね」

そう言って右手を差し出した久野先輩。私はその手をそっと握った。


「私は、一年の…『梅原麦ちゃんでしょ?』」

「えっ?」

なんで私の名前……


「知ってるよ。麦ちゃんはこの学校で有名人だから」

「……有名、人?」

色々な疑問が頭に浮かんだけれど、質問する前に先輩が話を続けた。