「中学の頃からひとときも離れずに、いつも一緒にいたのはどうして?」

思い返すと、柳瀬はいつも隣にいた。

私はそれが当たり前になりすぎて、感謝することもしなかったんだ。


そのせいで私は今、大切な人を失いかけている。


「私は麦の味方だから、麦がどんな答えを出そうと、麦のそばにずっといるよ」
 

「……琴ちゃん」

「だけど、もう一回ちゃんと考えてみな。大切なことって、分かってそうで案外分かってなかったりするんだよ」

琴ちゃんはそう言って小さく微笑んだ。