「悠斗…。文に抱きつくな」
不機嫌そうな声が聞こえた方に目をむけるとどこからか現れた瑠衣が悠斗さんの首根っこを掴んでいた。
「瑠衣、ありがとう。」
ギャースカ騒いでいる悠斗さんを無視して瑠衣がこくんと頷く。
「瑠衣達はどうしてこんなところに?」
「文…探してた」
「え…?」
いつの間にか瑠衣の腕から抜け出した悠斗さんが頬を膨らませながら言う。あざと…じゃなくて、可愛い。
「そうだよ!僕達ずっとふーちゃんの事探してたんだから!!ね、瑠衣君。」
「違う。悠斗が勝手について来ただけ。」
探してた?どうして?私の出る競技はもう午前中にはないし、もし先生から呼ばれてたら放送されるだろうし。
理由を聞こうと瑠衣達を見ると、2人の視線は私ではなく月夜の方に向いていた。
「なになにー?俺にモテ期到来?」
3人からの熱い視線を受け照れるーと、ふざけた事を言っている月夜。
バカだ。私はなかば呆れ気味に月夜を見ていると
「お前…誰?」
珍しくいつもの眠たげな瑠衣ではない真剣な声だった。
月夜がその声に目を細め3人を観察するように見て、ふっとバカにするように笑う。
