「随分と仲がいいんだね」
言い争っていて隣の人物の事を忘れていた。低い声が私の耳を通りすぎる。
隣からの黒いオーラに体がビクッとなる。
ギギギっとロボットのようにゆっくりと首を動かし恐る恐る隣を見る。
こっっっわ!!!!
ニコニコと口は笑っているのに目が全然笑っていない。
「か、かなた?なんでそんな怒って…」
「あ?」
「ひぇっっ」
奏多のドスの聞いたあ?に思わず怯える。
「えー、奏多君こわーい。」
そして、空気を読まない男がここに1人。やめてくれ、今の奏多を刺激しないで。私はあんたの空気の読めなさの方が怖いよ。
「気安く名前でよばないでくれる?ていうかあんたは文乃のなに?」
ピリピリとした空気が2人の中で流れる。いや、月夜に関しては余裕そうに笑っている。だから、奏多は余計にムカつくのだろう。
月夜がなんと答えるのか、私も不安でその横顔をチラリと見る。その憎たらしい笑顔から嫌な予感しかしない。
しかしその答えは、聞き覚えのある高い声によって遮られた。
「あー!!見つけたー!!!」
校舎の影からいきなり現れ私達に指をさす男。
イノシシ再来である。こちらに向かって勢いよく走ってくるイノシシ。あ、間違えた悠斗さん。
待て待て待て、あんたは学習能力がないんですか?!来るであろう衝撃に目をつぶって構えていたら…
「あれ?」
いつまで経っても衝撃がこない。
