ダンッッッ!
それはもう見えるか見えないかの速さで何かが月夜の顔横ギリギリに当たった。いや、壁に埋まっている。今にも煙が出るんじゃないかという勢いで。
目の前の月夜から壁に視線を移す。
こ、これは、サッカーボール?え、なんでこんな所にサッカーボールが…。
背後から低い声が響いた。
「その子、離してくれる?」
その声は奏多?後ろを振り向いて確認しようとしたら、月夜に思いっきり頭を胸に押し付けられ阻止された。
力強っ!!く、くるしぃ。モゴモゴともがくが月夜は離してくれない。
頭の上からヒューという月夜の口笛が聞こえてきた。
「やるねー君。俺の顔の横ギリギリ。危ないなー、もし"俺達"にあたってたらどうしてたわけ?」
「俺はそんなヘマしないから安心してよ。次はあんたのその面白い顔面狙ってあげる。」
「おお怖っ。俺これでもイケメンって言われる方なんだけど。」
「あんたの顔面なんて興味ない。いいから文乃から離れろ。」
「嫌だって言ったら?」
月夜の腕の力がいっそうます。
ぐ、ぐるじぃぃ。殺される!!
待って、まじでこれ私死ぬ。窒息死する。今日が私の命日になってしまう。あぁ、最後ならもっとハゲ校長の話聞いてあげれば良かった。
「俺が力ずくで奪うまで。」
「できるもんならやって…うおっ!」
ガバッ!!月夜の腕が一瞬緩んだ瞬間に思いっきり押す。息が、息ができる。
空気ありがとう。酸素ありがとう。君たちはこんなにも美味しかったんだね。
ぜーはー、なりならがら月夜を睨む。
「お前は私を殺す気か!!」
驚いた顔をして、私を見る2人。いや、なんか悪いことしたみたいになってるけど、悪いのはお前らね。
「もう、文乃さん。今いいとこだったのに」
「え?私が悪いの?!ものすご苦しかったんだけど。」
「文乃さんはそのくらいじゃ死なないよ」
「お前は私をなんだと思ってるんだ」
顔がピクピクなりならが月夜を見る。
