勢いよく後ろを振り返る。まるで私の答えが分かってるいるかのような余裕そうな顔。ムカつく。反論したいのに、今のこいつに何を言ってもどうせ私の気持ちは筒抜けだ。
そうですよ、そうですよ。どうせ私はお前が居ないとだめですよ。
長年一緒にいるだけあって、目を見ればだいたいお互いの気持ちが分かってくる。良くも悪くも。
でも、それはお前もだろ?気づかれてないとでも思ったか。ばーか、バレバレなんだよ。
誰が見ても余裕そうに見えるその顔。でも、私には分かる。目が不安だ寂しいと言っているようにしか見えない。
たくっ、相変わらず可愛くないやつ。素直に言えばいいのに。月夜の分かりやすすぎる強がりにふっと笑いが盛れる。
「今変なこと考えたでしょ」
むっとした顔で月夜が言う
「いいや。ただ、可愛いなと思って。」
「バカにしてる?」
思い切り睨んでくるが、今はその睨みが全然怖くない。安心しろというように、月夜の頬に手を添える。月夜がその手に自分の手を重ねて擦り寄ってくる。
月夜が今1番欲している言葉を言ってあげる
「私はお前が居ないとだめだって?なにいってんの。」
月夜があから様に顔を歪める
「そんなの当たり前でしょ。」
今度は私が余裕そうに笑ってやる。
「当たり前…。ふっ、そうだよね。文乃さんはそういう人だった。」
「今更知ったの?」
「いや、ずっと前から知ってたよ。文乃さんが俺に意地悪して、それ見て楽しむ人だってこと。」
「いや、それは月夜でしょ!!てか、月夜はいつまでもいるつもり?いい加減帰りなよ。」
「えー、そんなこと言われると帰りたくなくなるよね。」
「うわっ、ちょ、抱きつくな!重い!」
勢い良く月夜が抱きしめてくる。
「それに文乃さんが俺以外とこうしてイチャつかないか見張らないといけないし。」
いや、イチャつく相手がまずいませんが?!
「いいから離れて。苦しい。」
「嫌だ。我慢して。久しぶりの文乃さん堪能してるんだから。」
「私の許可は?!」
そんな私達の横を何かがかすめた。
