この顔はまずい。冷や汗が背中を伝うのがわかる。逃げたい、ものすっっっっごく逃げたい。
この笑顔を見て逃げ出さないやついるか?
いやいない。逃げるが勝ちっていうしね。
クルット後ろを向きそのまま走り出そうと足をだ…
ガシッ
「ひっ」
「どこいくの?逃がさないよ。」
月夜の腕が私の腰に強く強く巻き付く。
「俺をほったらかしにして、あいつらとイチャついて楽しかった?」
その言葉に私は顔を歪める
「私はお前の目を疑うぞ。あれの何処がイチャついてるいるように見えるんだ?むしろ舐められてるだろ。」
「………。」
おい、なんだその顔は。呆れたように私を見るな。
「ほんと、鈍感なところだけは変わらないんだね。」
「なんで私は突然悪口を言われなきゃ…」
その続きは月夜の怒ったような低く声によって遮られた。
「ねぇ文乃さん。そんなにあいつらがいいの?」
「なに言って…」
後ろから抱きしめられているため月夜の表情は分からない。
「でもごめんね。俺はあんたを離してあげるつもりもないし、あいつらにあんたを渡すつもりもない。それに…」
耳元でふっと聞こえるか聞こえないかの声量
低い低い声が通りすぎる。
「あんたも俺が居ないとダメなくせに」
