ピストルの音と共に選手達が勢いよく走り出す。
金髪も勢いよくスタートをきった。
私もその後を追うように走り出す。
ちなみに私は足が速い方だ。いや、速い。それはもう、あの地獄のトレーニングを受けていたら誰でも速くなる。
『文乃!そんなんじゃオリンピックに出るなんて夢のまた夢だぞ!!』
『ゼェハァゼェハァ、いや、ゼェハァわたしは、別にオリンピックにゼェハァゼェハァ、出たいんわけじゃ』
息を絶え絶えに言う私を許してくれるゴリ先ではない
『何言ってんだ!!!あと、10週追加!!』
『はぁぁぁぁ!!』
昔潜入していた高校で入っていた陸上部の顧問こと、ゴリ先元気かなぁー。あれはもうキツかった。初めて、この仕事やるくらいならボスの相手していた方がましだと思ったよ。
そんな事考えている間に金髪との差はひらいていく。
やっべ!
ゴールまであと残り少ない。私は手足を動かす事に集中して、一気にスピードを速める。
左右の景色が瞬く間に流れていく。気持ちの良い風が私を通り抜けていく。
興奮したような声が放送から聞こえてくる。
「おおっとぉー!!最下位にいた四乃宮さんが一気に他の生徒を追い抜いていく。これはいい戦いになってきたー!!」
前にいた選手達がどんどん私の視界から消えていく。
「それでも先頭は播戸さんだー!!流石の四宮さんも播戸さんには勝てないかー!」
視界に残ったのはあの金髪のみ。
ふっ、ゴリ先ありがとう。私は貴方に教わった教えを思い出し走るよ。
どうか私の勇姿を空から見守っておくれ。
いや死んでねーよという声が聞こえた気がしたがなんの事やら。
