「ごめん!ごめん!」
「それ絶対思ってないだろ?あれ?流星もいたんだ。」
チラリと文乃を見る。先程の悲し顔はそこには無い。
「おう。ちょっとな。」
疑うように目を細め俺をみる奏多。
「ふーん。」
「奏多、私先帰っててもいい?瑠衣がご飯待っているだろうし。」
「あ、じゃあ俺も帰るよ。丁度お腹空いたし。」
「何言ってんの。せっかく仲直りしたんだからもう少し遊んで帰りなよ。」
奏多は、文乃の言葉に嫌そうな顔をする。
「瑠衣と文乃。2人きりにする方が嫌なんだけど。」
奏多が何かごにょごにょ言っているが聞こえない。それよりも、なによりも!!
「え!?俺も文乃のご飯食べたい!!あれ?てかお前ら一緒に住んでんの?」
「は?ダメに決まってるでしょ?それに文乃は俺の父さんの再婚相手の子供。いわば、妹だよ。」
「は?!まじか!?」
「そうそう。まじ。文乃、俺こいつらとはもう十分話たから文乃と一緒に帰る。」
奏多が女と普通に話す事にも驚いたが、まさか一緒に飯を食べるまでの仲とは…
ははーん。奏多、もしや…!
俺はニヤニヤが収まらない。
「あの女嫌いの奏多が、ついに!!
俺は嬉しいぞ!!奏多!!」
「は?何勘違いしてんの?バカでしょ」
とかいいながら、頬が少し染まってるぞ。
「ほらっ!いいから、帰るよ!!」
「えっ!うわっ!」
文乃を無理やりバイクに乗せる。
「奏多、文乃またな!」
「ふっ。なにあたり前な事言ってんの。」
奏多は、バカにするようなそしてどこか嬉しそうな顔をした。
バイクの音が遠くなっていく。
俺はあいつらの後ろ姿をじっと見つめる。
頭の中では文乃の言葉がいつまでも消えないままでいた。
