「は?蒼勝手に帰すなよ!俺はこいつを1発殴らないと気が済まない!!」
「お前の器ちっさ。」
ボソッと呟いた声は思いの他大きく、金髪に聞こえていた。
「なんだと?!テメェー!!」
「だいだい、私は帰るなんて言ってない。奏多。言いたい事があるんでしょ?」
今まで、黙って私達を見ていた奏多はまさかここで自分が出されるとは思ってもいなかったのだろう。
いきなりの事に思いっきり睨まれる。
「普通、ここで俺出す?絶対、翔がめんどくさくなったから俺に渡したんでしょ」
バレたか。
奏多の登場に周りがまた騒ぎだす。それを制すのは、1人の声。
「奏多、なんでここに戻ってきた。」
今までのおちゃらけた雰囲気が嘘のように、シーンと静まる。
キャンキャンわめいていた、翔も東雲の言葉に黙る。今、発言を許されているのは東雲と奏多だけ。
先頭に立つものの独特な雰囲気。その空間全てを支配してしまいそうな威圧感。東雲流星、バカまっしぐらな奴かと思っていたけど、伊達に火蓮の総長をやっていないな。
「流星…。俺は…、ここを守るために戻ってきた。」
さっきの弱った目とは違う。
強い意志を宿した目で、東雲の目を射抜く
