クローバー

隆二side


「岡山と松坂が旧校舎の理科室に、怪しい男といます。売人かもしれません。突入してもいいですか。」



そうクロからlimeが来たのは30分前のことだ。



「いいわけねーだろ。俺が行くまで待て。」



焦るクロにそう返す。あいつはなんで旧校舎なんかにいるんだ?



クロに疑問を持ちながら、最後だというように体の中の煙を吐き出し、灰皿に押し付けた。



普段冷静なクロが、焦りを見せるなんて珍しい。よっぽど危機的状況なんだろう。



あいつは良くも悪くも冷静に物を客観視することに長けている。



あいつのあの大人びた雰囲気についクロなら大丈夫だろうと、任せてしまう俺たちも悪いが、自分の事も他人事のように客観視して、一人で何でもやろうとしてしまうクロはもっとたちが悪い。



ガキが大人頼んなくてどうする、なんのための俺たち大人だよ。



クロの相変わらずな言動にイラつきを覚えながら、急いで旧校舎の方に向かう。



クロに突入を待てと言ったのはそれだけじゃない。何か嫌な予感がする。