離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~

「すみません、遼介ったら態度悪かったですよね。帰り際も暁斗さんの事睨んでましたし」
 
 食事を終え、凛音はコーヒーとプリンを準備し、リビングで暁斗と共に一息付く。

「普段は、誰にでも優しくていい子なんですけど……」

「アイツは大好きな姉を俺に取られたと思って拗ねているだけだろう。初めて会った時も睨みつけられていた記憶があるが、今日はあの時とは違う目で俺を見ていたな」

 睨んでいる事には変わりないが、とフッと笑い暁斗はコーヒーを口に運ぶ。

「そうなんでしょうか……」

「凛音と俺が仲良くしているを見て嫉妬したんだろう。夫婦らしく見えたってことで良い傾向じゃないか」

 確かに遼介も暁斗が妻の夕食を食べたいとい理由で医師の付き合いを断り、妻の好物のプリンを買って帰るような男だとは夢にも思っていなかっただろう。

 病院で水上達の会話を聞いたことが切っ掛けで暁斗から提案されたのが『普段から夫婦らしくする』事だった。

 ボロが出ないように、お互いの事を知って振舞い、親族や病院の関係者に『幸せな若夫婦』である事を認識させるようにするのが目的だ。

 確かに、ふたりが仮面夫婦とでも噂が流れたら、また周囲がざわついて面倒になるだろうと思い、凛音も努力しようとはしている。