離婚するはずが、心臓外科医にとろとろに溶かされました~契約夫婦は愛焦れる夜を重ねる~

 水上も仕方ないと思ったのかが、同じくしゃがんで拾うのを手伝い始めた。

 普通に親切にしてくれるなんて、ちょっと意外だなと思っては失礼だろうか。

「すみません、水上さんもお仕事中ですよね」
「まあ、そうだけど」
 
 ふたりは黙ってポスターを拾う。水上は最後の一枚を拾い終えるとしゃがんだまま凛音に渡してくる。

「ありがとうございます」

 凛音もしゃがんだまま受け取り、ふたりは向き合うような形になる。

「……あのさ、前に、悪かったわね」
「はい?」

 凛音が首を傾げると水上は言いにくいのか、少々歯切れが悪く話し出す。

「なんか、あの頃、患者さんにきつく当たられたり、上手く行かない事が多くて、なんでこんなに大変な思いしてなきゃならないんだろうって、辞めようかなって考えてて……あなたに当たっちゃったのよ。剣持先生と結婚して、楽出来るじゃないって……羨ましかったのね」
「水上さん」
「でも、あなたに言われた『患者さんは医者や看護師を藁にもすがる思いで頼りにしている』っていうの、一理あるなって思って……少し頑張ってみたのよ」