病棟を1階から順に上がりつつポスターの貼り替えを行って8階に来た時だった。
廊下の奥の方に白衣姿の長身の男女の姿が目に入った。
暁斗と美咲だ。凛音はつい立ち止まってしまう。こんなに距離があるのになんで見つけてしまえるのだろう、と凛音は心の中で溜息をつく。
ふたりは何か立ち話をしているようだ。遠目にも美男美女で、同じ医師で話も合うだろうし、。やっぱりお似合いだ。
それを改めて認識してしまい、踏ん切りをつけるつもりでいても、やはり胸の痛みは感じてしまう。
「……」
「……ねぇ、落としてるわよ」
「え?」
突然後ろから声を掛けられ、驚いて振り返る。
「……水上さん」
以前暁斗に迫り、凛音との噂を流したり、地味だと指摘してきたり――とあまりいい印象のよろしくない看護師の水上が立っていた。
「ほら、足元。あなた案外抜けてるのね」
足元を指さされる。見ると手に持っていたはずのポスターが滑り落ちて派手に床に広がっていた。
暁斗と美咲の姿に意識を持っていかれ、手元から落ちてしまっていたのだろう。
凛音は慌ててしゃがんで拾う。



