雨降り王子は、触りたい。




いやいや…流れ的に私に貸してくれるんじゃないの?

っていうかこの前2人で話した仲だよね?私たち!

頬が、ヒクヒクと痙攣した。



「え、まじ?助かるわ〜」



和佳が電子辞書を受け取ると、爪に敷き詰められたラインストーンがキラリと光る。

…市川の薄情者。

私はジロリと、和佳に笑いかける市川を睨んだ。



仕方ない。他に貸してくれる人、探そ。

教室を見渡すとすぐ、遠くの金髪頭が目に止まった。
その男は窓際の1番後ろという特等席で、優雅にスマホをいじっている。



………三咲は、なしだ。

今話しかけて、噂に火が点いたら困るし。

他の誰か…

三咲から目を逸らした、その時。