押しに負けた私は、やむなくローファーを下駄箱に押し戻した。
三咲の友達だから、悪い人ではないんだろう…って思うけれど。
一定の距離を取りながら、市川の後を歩く。
市川のうしろは、なんだか酔ってしまいそうな、大人な香りがする。
「ここ座って」
辿り着いたのは、人気のない裏庭。
足を止めると、生暖かい風が髪を撫でた。
言われた通り置いてあったベンチに腰掛けると、市川は柱にもたれながら口を開く。
「単刀直入に聞くけど」
市川の緩い雰囲気が、少し引き締まった気がして。
「…うん」
私もなんとなく、姿勢を正す。
