宥めるようにのえるの頭を撫でていると、前の席の椅子がガタッと音を立てた。
現れたのは真っ直ぐな白髪のロングヘア。
絹のような髪がさらりと揺れ、その人物が振り返る。
まつ毛がバサバサで目力の強い顔面が、こちらに向かって笑った。
「絃、のえる、おはよ」
灰原 和佳(はいばら わか)
のえる同様、私の中学からの親友。
「おはよ、和佳」
「おはよぉ〜!」
鮮やかなグリーンのカラコン、アイライナーで書いた泣きボクロ、長いスクエアネイルがトレードマークの和佳。
和佳はメイクが上手な、のえると私のお姉ちゃん的存在のギャル。
