数学が終わって、自分の教室に向かっているところ。

すれ違いざまに廊下で呼び止められた。



「おいそこの赤髪。」

「なに…って、チャラメガネ王子か。あ、ちがうわ。ニキビメガネ王子だ。」

「それだよ、それ。あんたのせいで出来たあだ名らしいな。……許さねえ」



──────あの日、三咲の秘密を知った日。

私が教室に戻ったのは、昼休みが終わる5分前だった。

席に着くとすぐに、クラスメイトに詰め寄られたんだっけ。

そして、「どうだった?」としつこく聞いてくるものだから、私は答えたんだ。