雨降り王子は、触りたい。




そんなこと今更三咲に言ったって、なんの意味もないのに。

むしろ本人に頷かれると、きっとその光景が色濃く頭に浮かんで、苦しくなる。

そんな私の後悔に気付くはずもない三咲は、膝に置いたリュックに顎を埋めた。



「……そうなんだ。まぁ俺も話そうと思ってたけど」

「………キス、」

「いやあれは、唇当たっただけだし」

「………当時、萌絵ちゃんのこと好きだったなら少しは嬉しかった?」



ほら、もう。私ほんとに可愛くない。

さっき萌絵ちゃんの告白を見て、自分のこと小さいなって思ったところなのに。

がっくりと肩を落とすと。



「…………は?」



眉根を寄せた三咲の顔が、こちらを向いた。